続TOY RC ヘリコプター

skyex2008-06-01


プロフィール


skyex

skyex

見果てぬ夢を形にするスドリームデザイナーIt is Sdream Designer in shape as for the faraway dream. :yoichi takahashi


先述のチョロQヘリに懲りず?!にまたトイラジコンヘリコプターを
制式導入してしまった。わが回転翼空軍機としては4機種目の採用である。 調達コストは倍以上するがそれなりに本格的なものに仕上がっているのが嬉しい。おまけにリッパな厚紙製のヘリポートまで付いている。

プロポもリッパ!だ。
 メーカーはこの類のラジコンもので有名なTY製である。TY製といえば
トイラジの”ゼロ戦”をかつて購入し、わがご子息と休耕期の田畑をかけめぐり、、飛行に苦労したが思い出があるが、、、、。
今度のヘリのスタイルはユーロコプター”Dolphin 2”に似たスタイルだがローターシステムが2重反転式で安定性が高いというのが振れ込みだ。

へりQと比べても機体サイズも大きくそれなりに迫力がある。
やや!?!?、、、 2重反転なのに尾部のテールを見るとアンチトルクロータらしきものがある。もちろん回転はしない画だけのものだがそのスタイルはアエロスペースの長年の特許で守られたファネストロンという換気扇にも似た安全性をうたい文句にしたテールローターである。近年特許がきれてわが国のOH1にも堂々と
使用している代物である。
 そもそも2重反転の回転翼はテールローターを必要としないのが売り文句であるであるが、、、、、、其処が玩具の
宿命か?!。先ずはヘリとして、一般受けするスタイル優先にしておかないと大衆受けしないのである。2重反転のへりなどとても超マイナー過ぎて、、仮にスタイルも2重反転の”ロシア製”カモフ”などで造ろうものなら
まったく売れないと考える。マニ家としてはローターが2重反転ならスタイルも”カモフ”か”DASH”で造って欲しかったが、、、、。せめて最新のロシアの攻撃ヘリの”アリゲーター”とか、、、
おっとまた、マニアッ苦!な話に落ち込んでしまった。

そもそも2重反転式なるものはあらゆる回転動力につき物の回転反力を利用するという
効率主義の産物である。したがって、航空機用のプロペラに始まるが言うほど一般的でなくこれまでにロシアの航空機のアントノフ輸送機やバジャー爆撃機のプロペラが有名だ。そのほかのには
競技用のスピードレーサーなどに使われたことはある。
ジェットエンジンでは2重反転ではないが回転反力を効率よく使うことではハリヤー戦闘機のロールスロイスのペガサスエンジンがその例だ。しかし、所詮マイナーな存在だ。やはりどこかに無理や無駄が付いて回るようだ。
ヘリコプターでもいまだ前述のロシア製カモフ、アリゲーター攻撃ヘリアメリカ製のDASH対潜無人機が有名で
メジャーなヘリには使われていない。
やはり、それなりに複雑な回転翼ピッチ変更機構が避けられている理由である。

下図はかつて海上自衛艦に搭載された無人対潜攻撃へり”DASH”だ。これで敵潜水艦の上に無線操縦で飛ばし、下部に装備した魚雷で攻撃する代物。艦載するため、小型ガスタービン駆動の2重反転ローターを装備していた。

下はロシア製”カモフ”レシプロ機時代から延々と2重反転双テールフィンスタイルを守り続けた根性は見事なものだ。最新のタービン機を示す。

次にローターシステムに行って見よう。
2重反転の割には模型として、かなり細いメインシャフトが2軸になっているのは驚きだ。

この軸のなかにもう一つ反対に回転するシャフトが通っている。
ヘリQとお馴染みの安定棒を持つローターが上下にある。その間に、上下ローターの衝突防止用に
細いワイヤーのリングが設置してある。2重反転なのでローターハブのフリクションで上下の互いに反転しているローターが衝突すると大変だ。ローターはひとたまりなく破壊されてしまう。
またこのリングは対物衝突にも役に立つ。筆者もこのリングのおかげで幾度となく、部屋の壁に衝突したがほとんどローターは無傷であった。
ただ、このリングと上下のローターの間が大きく、スケール感を損ねているともいえるがそこは
模型的見方をしなければならない。
 やや、粒さにローターの付け根を見ると見慣れる装置を発見したぞ、、、、、。
これはヘリQで所望した前進装置ではないか。

ヘリを前進させるにはローター回転面を傾ける必要がある。
ヘリは傾いたローターの水平分力で前進する。

回転している回転面を意図した方向に傾けるのはそう簡単ではなく、
物理法則を使って行う必要がある。
それは高速回転体の”ジャイロプリセッション効果”というものである。
回転しているコマに力を加えるとその場では作用せず、回転方向に90度遅れて作用する性質がある。
子供のころ、コマ回しをしていて、揺らそうと指で回っているこまを押すと不思議なゆれ方を
したのを覚えている。

ヘリの回転面制御にはこのジャイロプリセッション効果をうまく利用している。
つまり、ヘリの回転翼も質量を持ったコマと同じ物理法則にのっとっているのでこの性質を利用している。
したがって、回転翼面をかたむけるには回転方向の90度手前で回転翼のピッチをかえて力を加える必要がある。

この方法は”サイクリックピッチコントロール”と呼ばれていてヘリの重要な
制御メカニズムである。
実際のヘリの開発歴史ではこのサイクリックピッチ制御のメカニズムもまた多大な工夫と開発年数がかかっている。ヘリ業界の創始者の名前がいくつもあるように多くの制御方式が考案され実用化された。
ベル、ヒラー、シコルスキー、ロッキード、カマン、、、いくつものアイデアが研究され実験された。
下に代表的な原理図を示す。
回転するローターのピッチを周期的に制御するためにスオッシプレートと呼ぶ、斜板カムの
発明が完成に導いた。今日のヘリでも必ず存在するメカである。
斜板カムは現代の多くの機械に取り入れられており、油圧ポンプ、や各種液体ポンプ、の基本原理になるもので20世紀の秀逸な機構の発明の例である。



スワッシュプレートはローターシャフトの球面ベアリングとコントロールプレートとアウターリングで構成されている。コントロールプレートとアウターリングの間にベアリングがあり、互いに自由に回転する。
コントロールプレートは回転翼リンクとともに回転する。アウターリングは操縦装置につながっていて
回転はしないが前後左右はじめ、360度あらゆる方向に傾いて、その傾き量をコントロールロッドを介して回転している翼のピッチを変える。
実際にはこれにコレクティヴピッチコントロール機構や各種ローター制御機構が絡んでもっと複雑な
機構になっている。
今日のヘリコプターの制御メカニズムには必要不可欠なものである。
といってしまったが、、、、、ここにはその例外も存在する。

このTY製のトイラジヘリにはこれまでのヘリコプターにはない、サイクリックピッチコントロール機構が
搭載されている。これがローターの付け根をある見慣れる装置である。
前述のメカニックの説明のようにこの機構は複雑なピッチリンクで構成されている。
しかし、このTY製はマグネットの磁力を使って複雑なピッチリンク機構を使わず、実にシンプルにまとめきっている。
このアイデアは賞賛ものである。
プロポのエレベータースティックを前に倒すとマグネットの付いた伸縮ロッドが伸びて、回転翼側にある
金属リングに近づいて、磁力で金属リングを引き寄せ、リングに付いた回転翼のピッチが変わる動作
原理である。このシンプルな機構はウエイト&メカに極限設計を求められる超小型RCヘリには大変有効な発明である。



 私のデザインした一人乗り超小型ヘリ ”iHeli"にもこのようなピッチリンク機構を
使わないサイクリックコントロール装置を提案している。
 私のアイデアは2.4GhzISM無線発信で回転翼を構成している人口筋肉をダイレクトに弛緩させて、回転翼そのものの翼型をサイクリックに変化させるといった大胆な発想である。

将来のヘリコプターの回転翼コントロール機構はメカニカルな機構からこのような
エレクトロニクス型のコントロール機構に変わっていくであろう。

次に実際の飛行に行ってみよう。
ヘリを平面に置き、プロポのエンコンスティックをゆっくりとあげていくと
回転数があがり、ヘリは素直に地面を離れる。目の高さよりやや低めで少し、スローにもどして高度を安定させる。

 さすが2重反転式のジャイロ効果がよく効いて安定しているのに驚く!!。 この辺はヘリQと比べて、大型の機体だけあって、やはり安定性が高く
いきなりの素人でもある程度のホバリングは時間がかからず可能だと思う。
ただ、ラダースティックとトリムでの方向を安定させるには多少慣れが必要である。

 一般的に考えると小さい飛行機は一見飛ばしやすく感じるけれど、実際はある程度大きな飛行機のほうが気流の変化にたいしては安定して飛ばし易くなる。
 これはかつて、RC飛行機の操縦を教えていたときに、初心者から良く質問をうけていて、そんな場合も
飛行練習用の機体の選択で一回り大きな機体を薦めていた。
 これは空気力学の専門では”レイノルズ数”が関連する効果である。
小さな飛行機は少しの大気の擾乱でも大きく影響されやすいが、ある程度機体が大きくなるとそれは穏やかな擾乱になってそれほど安定性に影響しなくなることがいえる。

さて、問題の前進飛行であるが、方向が安定したところでエレヴェータスティックを前進側に
倒すと前進ははじめてくれるが方向がふらついてしまう。
 前進飛行に移行する際には力学的安定要素が変化するので方向安定はさらにこまめに
調節してやることが必要だ。


画面がぶれているのは 右手でプロポを操作し、左手でデジカメを操作しているからだ。
こんな芸当ができるのも長年の操縦経験が成せる技である。