ニュージーランド:航空紀行-1

 昨年,ジェット戦闘機体験搭乗で,全く,予期しないのに
ニュージーランドに行くことになった。航空機といえば,マニア定番の米国,英,仏が航空博物館の量とエヤショウと圧倒的に
知名度高いが,,以外にもこの南半球のニュージーランドに航空マニア垂涎の航空機に関連する面白い情報があることを発見した。
先ず, 体験搭乗したアドモア空港にあるNZWAウオーバード協会が保有する戦闘機たちを紹介しよう。

第一は動態保存している,米国製プロペラ機のテキサン練習機である。

 ライトサイクロンシングルワスプの星形12気筒エンジン搭載で大戦直後に初飛行した練習機ではあるが
現在も立派に飛行し,
体験搭乗も可能な状態にある. 筆者が行った日も3人のマニアが3機のテキサンを使い,
編隊飛行を行なっていた.大戦後はそのスタイルが日本のゼロ戦に近いので
映画に撮影にたびたび使用されたこともある.

機体にはキウィーちゃんのマークが書かれている.
イギリス連邦の国なので英国マークの円の内側にNZの国鳥である”キウイー”が描かれている。

 筆者も恥ずかしながら,,NZにくるまえまでNZ空軍のマーキング??であったが、、、、。
  なにやらユルキャラ的でかわいいマークである。

 その星形エンジンの奏でる,爆音をはじめて現場で聞いたが、、お腹に響く、、たまらなく良い音であった.

第2はあのムスタングである.
このムスタングは先述のテキサンとなんと!!!兄弟機種なのである。
 同じノースアメリカン社が製造した戦闘機なのだ。
とても同じ、会社が作ったとは思えない、面構えの違いに読者もびっくりに違いない。
 もっとも、イギリスに高性能な戦闘機を作るために援助をもとめ、当時世界最高水準の
ロールスロイスマリーンエンジンを手に入れたので従来の星型空冷エンジンのスタイルから
V型液冷エンジンの細身を生かした空力的にも一気に洗練したのである。

 NZでそのムスタングに会えるとは全くもって,思っても見なかった
当日.もうすぐムスタングがアドモアに飛来してくる,とNZWAの人から聞いた.
 空を眺めて待っていると,上空から重厚だが軽やかな響きのロールスロイスマリーンエンジンの爆音とともに,
細身スタイルのあのムスタングが現れた!!!。

 上空を一周し,艶やかに着陸した.近くで見ると以外にも小ぶりな
機体と感じた. 機種からすっと伸びたライン,アルミ合金のメタリック感がスタイルとマッチして流麗な
フォルムを醸し出している。

 早速、燃料を補給している。航空機は使った分だけその場で補給するのが原則である。なぜなら、タンク内の空洞をなくし、気温変化で飽和水蒸気量が変化して、結露し、ガソリンに混ざると、燃焼にばらつきが出るのを防ぐためである。
入れているのはMIL-G-5572の高オクタン価のものである。

このムスタングのスタイルは圧倒的に魅力がある!!!!。
 アクリル樹脂真空成形の視界の良いバブルキャノピーは当時としては
先進なスタイルだったに違いない。胴体下に伸びたオイルクーラー用の空気取り入れ口は
ジェット戦闘機を彷彿とさせ,筆者も子供心にカッコイイ!と思ったものである。

 特筆すべきはこの機体が初めて採用した層流翼にある。
これも当時のNACAが世界中の戦闘機の翼型を研究した成果である。そのなかには
日本のゼロ戦もあった。

翼型の最大矢高の位置を約40%に設計して,
空気の流れが層流から乱流に移る位置を後ろにずらし、空気抵抗を最小化し,揚抗比を飛躍的に
改善し,当時としては最速の時速700kmを達成した。
 格納庫にしまう前にオーナーと
短パン姿の女性がモップでムスタングをごしごっし、洗う姿は大変貴重な???な光景である。
荒馬ムスタングも美女に洗われているときはおとなしい。

ムスタングと2ショットでご満悦!。


第3はUSNAVYのトロージャン戦闘機である

 本機はアメリカ海軍の艦上戦闘機である。その証拠に後ろに着艦フックが装備されている.フラップは単純フラップであり、高揚力効果はあまりよくない形式である。
戦闘機として、メカの単純化による整備性を優先させたのであろう。

エンジンはライトサイクロンWワスプの星形24気筒でムスタングとはうって変わって,
正面面積が大きく機種から胴体にかけて,重厚で重重しいスタイルをしている。

 操縦席内部も計器やノブがひしめきあって正に”戦う翼”ということをリアルに感じとれる.
機体細部を見ていくと割りと無骨なラインが目立つ,特に固定リベットが皿型の枕頭ビョウでな
丸頭リベットを使用している。このアタリは繊細でないアメリカ人のパワー一辺倒の
設計思想が伺える。多少の空気抵抗は有り余るエンジン馬力で”突破”してしまおう!というアメリカン発想か?。


第4米海軍A4スカイフォー

この機体も動態保存している.まさかNZでスカイフォークに会えるなんて.しかも
ペーブ2レーザー誘導爆弾の
初期型を胴体に吊るした状態で見せてくれる.

数年前,NZでは空軍の次期主力戦闘機の導入めぐり,国政2分の選挙あり,
結局戦闘機導入は退けられたという.それで現在では機種削減をしているという.

 理由は羊と牛,観光だけで資源無しの国を侵略してくる国など無いだろうと,
それより,福祉に当てるべしの方向を国民は選択したという。
ある一面正しい選択かもしれないが,,,航空マニアとしては少しさびしいが、、、、.
そのおかげで退役して、払い下げになったNZ空軍のスカイフォークをこうして
真近で見られるのはうれしい。

小さな,ニュージーランドの国でこんなにも航空機が大切に保存されている
実態を目にして,NZWAウオーバード協会の努力に対して敬意を払い,
”航空王国ニュージーランドと私は言いたい。