”夢の種”PROJECT

skyex2006-03-11


プロフィール


skyex

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見果てぬ夢を形にするスドリームデザイナーIt is Sdream Designer in shape as for the faraway dream. :yoichi takahashi



夢の種を夜空に降らせる話
 昨年の夏、知人のプロダクトデザイナーのYさんが私に面白い話があると相談を持ちかけてきた。 何でもYさんの友達の新進気鋭のライトアーティストである高橋匡太氏の新プロジェクトで”夢の種”を進行中とのことである。場所は福井県あわら市、で十月の国民文化際の行事で高橋氏にご指名となったと言う訳である。
 その”夢の種”は全国の老若男女から夢を集め、なんと上空からばら撒くという壮大な内容で
その数、は一万個を目標としているらしい。


タダ単にばら撒くだけでなく、そこは光の芸術家!  タネの一つ一つに小さなLEDライトを
仕込み、夜空に浮かぶ熱気球から、下の会場の観客の頭上に一万個の種を降らせるという発想である。しかもその種は植物の種にあるように回転しながら、ゆっくりと降下させ、
光の演出効果を高めようという構想である。
 しかし、そのクルクルと回転する"夢の種”を作るのがむずかしく、そこは空気力学の専門家に相談したほうがよいとの結論で、長年にわたり飛行機や模型航空機の開発をしてきた
模型空気力学の専門家である私に白羽の矢がたったわけである。
 そもそも、この”種”のものの開発は航空力学の専門家や大家でも飛行理論の理屈はこねられてもいざ、自分のアイデアで手を使い、作り出すことはそう簡単には出来ない。
 そこは日頃の模型航空機製作で鍛えた理論と製作力、オリジナル紙飛行機を作り出すことにコナれた私が適任!と思い思わず引き受けてしまった。
 それにしても、夜空に光を発しながら、クルクルと回転しながら頭上に舞い降りてくる一万個の”夢の種”を創造しただけでなんだかひさしぶりにワクワクとしてきた。
早速、我がSkyex研究所の研究員であるご子息と数々の試作品を作って飛行実験を
繰り返した。モデルにしたのは本物の松ボックリに入っていた松の種である。


 この松のたねは楓の実と同じく見事に回転滑空しながら降下してくる。これはより遠くに種を飛ばし子孫を繁栄自然が作り出した驚異の性能である。
 この種をいかに空力性能を再現して、かつ誰にも製作可能なシンプルで美しいデザインにするかが課題であった。

 最初のモデルは回転運動になかなか入らなかったが、思考錯誤するうち松の種を詳細に観察していた我が所員のご子息があるひらめきを思いつき、その構造で作ると意図も簡単に回転降下するものが出来た。これには空気力学の専門家の私も舌を巻いた。
まさに芽から鱗!の発想である。
 
実験は我が研究所の垂直自然風洞を使い、その落下飛行テスト回数は延べ300回に達した。
 そして、その羽はブルーLEDの発光効果を高めるように”YUPO”という特殊な素材を使い美しく光る
”夢の種”が完成したのである。

全国で高橋匡太氏主催のワークショップが開かれた。
場所は名のある美術館、小中高学校、美大、市民プラザなど様々、、、、

みんなで1万個の夢の種作りに挑戦した。

私は息子と一緒に大阪のキッズプラザで行われたショップに2日間、製作飛行指導員として
参加した。
2日間で述べ360人の親子連れの子供たちに飛行の指導を行った。
 最初はみんなうまく飛ばなかったが私の秘伝の飛行術を教えるとうまく回るように
なった。 そして、オーという喚声がホールに響きわたった。感激の瞬間です!。
 やはり、自分が作ったものがうまく飛行すると感激の境地にたつみたいだ。
2日間で私は360回の感激の瞬間に私は立ち会うことができ、これも
ある意味で脅威のアートであった。
下は子供たちに飛行指導する私。 

10月29日、福井県 あわらし 当日は天気は最悪の土砂降り状態、翌日に延期の覚悟で
北陸道を突っ走った。
会場に付くとまだあめは降っていた。体育館では気球搭載のリハーサルでメンバーは
てんてこ舞の状態であった。
しばらくして、いよいよ会場の準備設営がはじまると不思議と雨はパタリとやんだ。
 体育館で1万個のLEDの点灯作業が始まった。 
50人ほどのスタッフで1つ1つの夢の種のLEDスイッチを入れていく作業だ。シュミレーションでは2Hかかる予定が1H足らずで全数の点灯作業を終了した。
 いよいよ、会場には見物客が入場し始め、天気も星空が見えるまで奇跡的に回復した。
会場には3千5百名くらい入場し、いよいよ夢の種の投下じかんが迫った。7時過ぎに
夢の種ユニットを気球に搭載し、いよいよ離陸!
投下開始のトランペットので一斉に投下開始、、、、、会場内にオウー!!の歓声!!が聞こえ、
見事に回転降下するブルーに光り輝く”夢の種”が降ってきた。
一万個の回転降下はまさに圧巻!!!しばらくその光景に見とれてしまった。
↓下記に当日の記録画像があります。
http://www.shimizuoffice.com/yumenotane/live.html
 おそらく、こんなシーンは誰もが見たことのないシーンに違いない。
 3千5百名の観客とまさに一体となってひとつの”光のアート”の感動シーンを共有できたことは”高橋匡太氏”の見事な演出の成果である。そのひとつの活動に役立ったことは
大変 光栄であった。

これは翌日のA新聞の一面に載った記事である。

この話はNHK熱中時間のディレクターにも伝わり、2005年11月24日放送の同番組
で”星を降らせる親子で”紹介された。